蔵干の日数計算のことなど

前回の続きです。

蔵干は、節入り日から誕生日までの日数計算をすることで、余気、中気、正気のいずれかを出す方式がありますが、御堂氏と波木氏はその方式を採っていません。

私も両氏を参考に、格局や用神まで出しますが、特に不都合は感じません。

一応両方の方式を選べるように、スクリプトで日数計算の関数を作ってはみたものの、前回書いた平木場氏の鑑定経験の話を読んでみても、日数計算を選べるようにする必要はないかな、と思いました。

一方で、蔵干表は著者によって微妙に違うので、こちらは選べるようにというか、自分の納得の行く蔵干表を採用できるように、CSVファイルを読み込むようにしました。

def get_zokan(shi_ymdt):
__with open(‘zokan.csv’) as f:
____reader = csv.reader(f)
____for row in reader:

以下の蔵干表(zokan.csv)は、以前勉強させていただいた有山茜氏の「算命学の完全独習」(日本文芸社)と全く同じ御堂龍児氏の本のものです。行の最後が正気です。

子,癸
丑,癸,辛,己
寅,戊,丙,甲
卯,乙
辰,乙,癸,戊
巳,戊,庚,丙
午,己,丁
未,丁,乙,己
申,戊,壬,庚
酉,辛
戌,辛,丁,戊
亥,甲,壬

これを自分の納得の行くように、書き換えればいいわけです。

大運と蔵干を出す

大運は、流派が違っていても出し方は同じですから問題ありません。

以下、コマンドラインの最後の値は男女の別、male or female。

> python3 fpd_meishiki.py 2000 04 01 12:00 23 00:00 st0 m

大運:己卯, 庚辰, 辛巳, 壬午, 癸未, 甲申, 乙酉, 丙戌, 丁亥, 戊子, 己丑
歳運:1

> python3 fpd_meishiki.py 2000 04 01 12:00 23 00:00 st0 f

大運:己卯, 戊寅, 丁丑, 丙子, 乙亥, 甲戌, 癸酉, 壬申, 辛未, 庚午, 己巳
歳運:9

問題は蔵干です。

「23時生まれの日柱と時柱(四の二)」に挙げた四冊を見比べると、蔵干表の内容が微妙に違います。

それに四冊のうち、平木場氏と歌丸氏は日数計算をして余気、中気、正気の中から一つを決める方式、御堂氏と波木氏は一つに決めることはしません。

一方で平木場氏は、「四柱推命学の知識」(神宮館)の中で、「筆者の鑑定経験上では、(二)の全気を考えて正気を重くみる方法が最も確率度が高いので、筆者はこれを用いています(ただし、本書の解説では、読者に基本を知ってもらうために(三)の方法を解説しておきました)。」と書かれています。(二)と(三)とは以下。

(二)全気を考えて正気を重くみる方法。
(三)生まれ日の日数によって、余気・中気・正気の一つに決めて判断する方法。

つまり平木場氏も、御堂氏や波木氏と同じで、実際の鑑定の際は、一つに決めることはしないということですね。

次回に続きます。

四柱を出すスクリプトの実際(四の四)

前回の続きです。

コマンドライン最後の値は、節入り日の節入り時刻を考慮に入れるか否か。st1で考慮に入れ、st0で考慮に入れません。

> python3 fpd_meishiki.py 2000 04 01 12:00 23 00:00 st1

例えば、2000年の春分の日の節入り時刻。

前年は1999年(己卯年)。2000年(庚辰年)の1月(丁丑月)、2月(戊寅月)、4日(壬辰日)が立春、21時40分が節入り時刻。以下のようになります。前者が節入り時刻を考慮に入れず、後者が入れる。

> python3 fpd_meishiki.py 2000 02 04 21:30 0 00:00 st0

年柱:庚辰 月柱:戊寅 日柱:壬辰 時柱:辛亥

> python3 fpd_meishiki.py 2000 02 04 21:30 0 00:00 st1

年柱:己卯 月柱:丁丑 日柱:壬辰 時柱:辛亥

もし、節入り時刻は考慮に入れるんだけれども、立春の月だけは節入り時刻を考慮に入れない、という流派があれば、立春の日に生まれた人は最後の値をst0にします。

ただ前々回にも書きましたが、どの流派を選ぶかということよりも、その人にとって正しい四柱を選ぶことの方が大事なので、このように複数のパターンが簡単に出せるスクリプトにしたわけです。

四柱を出すスクリプトの実際(四の三)

こんな感じで四柱を出します。2000年4月1日12時生まれ。

> python3 fpd_meishiki.py 2000 04 01 12:00 23 00:00 st0

生まれ時刻の次は、1日の区切りを23時にするか0時にするか。その次の時間「00:00」は1日の区切り0時、かつ時差を使う流派用。

「23時生まれの日柱と時柱」で書いたように、身近な日本人でも外国生まれの人がいたので、時差は直接数値で入力するようにしています。

数値は「時差 明石 リスト」などで各都市の時差一覧表を検索したり、「東京都23区 東経」などで検索し、明石市(135度)との差を、1度につき4分で計算してもいいですね。ちなみに福岡市の計算は以下、その下はコマンドライン。

(130.24 – 135.00) * 4 = -19分

> python3 fpd_meishiki.py 2000 04 01 12:00 0 -00:19 st0

近所の人を鑑定しようとしたら、サンパウロ生まれの日系の方だったということであれば、23時区切りの流派の方でも、以下のようにやるのかな。

> python3 fpd_meishiki.py 2000 04 01 12:00 23 -12:00 st0

最後の値は、節入り日の節入り時刻を考慮に入れるか否か。st1で考慮に入れます。

> python3 fpd_meishiki.py 2000 04 01 12:00 23 00:00 st1

長くなりそうなので次回に続きます。

四柱を出すスクリプトの実際(四の二)

前回はスクリプトを作った後に、立春の日、かつ節入り時刻前生まれの人は、年柱も前年の干支にする必要があるんじゃなかろうか・・・ということに気付いたお話をしました。

ということで、スクリプトの年柱と月柱を出す関数の順番を逆にして、立春の日、かつ節入り時刻前の場合はフラグを立てて、年柱を出すときに前年の干支になるようにしました。

その一方で、立春だけは年柱は節入り時刻前を考慮しない流派(というよりもそれが普通なのかな?)にも対応するために、節入り時刻を考慮する/しないチェックも入れられるようにしました。

さて、ここまで書いてきて何ですが、「23時生まれの日柱と時柱」を書いているときに思ったことです。

どの流派が正しいかということより、その人にとって合っている命式を使って鑑定することが大事ですよね。

身近な日本人が、時差の大きな外国で生まれた場合もあるでしょうし、本人が正しいと申告している出生時刻が、数十分ズレている場合もあるでしょうし・・・。

というわけで、節入り時刻を考慮する/しないチェックや、1日の23時/0時区切りチャックなどを付けて2、3パターンの四柱がすぐ出せるスクリプトにし、本人にいくつか質問して、一番合っていると思う四柱を選ぶのがいいんだろうなと思いました。

四柱を出すスクリプトの実際(四の一)

「23時生まれの日柱と時柱」に書いたことは考慮する必要がありますが、それ以外は節入り日を注意すればいいだけなので、前出の本を参考に、四柱を出すスクリプトを作ってみました。

年柱は、四氏とも立春の日より前か以降かの生まれを考慮するだけ。

月柱も、節入り日より前か以降かの生まれを考慮するのですが、その日のみを考慮するのが波木氏、他の三氏はその日の時刻までを考慮。御堂氏は○時○分で見て、平木場氏と歌丸氏は2時間単位の○の刻で見ます。

私の持っている万年暦は○時○分で書いてあるので、御堂氏のやり方で作りました。

・・・あれ?年柱も2月の節入り日=立春の日の時刻を考慮しなくていいんだっけ?自分でも「四柱推命の命式を出す」に考慮するって書いているし・・・。

例えば、2000年(庚辰年)は2月(戊寅月)4日が立春、21時40分が節入り時刻。この日の21時39分までに生まれたら、年柱は1999年の己卯、月柱は1月の丁丑ですよね。

もしかして、四柱推命は年柱を出すとき、立春のみ節入り時刻を考慮しないのかな?それとも、これも流派によってまちまちなのかな??

・・・というわけで次回に続きます(汗)。

23時生まれの日柱と時柱(四の四)

私の古い古い母子手帳には、生まれた時間は「何時」と書いてあるだけで、「何十何分」までは書いてありません。

分娩室の時計と母子手帳の時間が20分違っていた、という人の話を聞いたことがあるので、結構アバウトなんだろうなと思います。

西洋占星術でホロスコープを作成する際は、出生時間はもっとシビアで、多くの本を出版されている松村潔氏は「占星術研究会」(シャングリラ・プレス)の中で、「それと、アセンダントやMCの問題で考えてみると、いままで実際にいろんな人を見てみると、どんなに正確な生まれ時間だと主張しても、多少ずれるわけ。だから、5度区分くらいが限度かなと思ったんだよね。」とおっしゃっています。

そして、ホロスコープ1星座30度を5度ずつ6つに分け、12星座×6つ=72とする「旅する 72星座占い」(講談社)という本を書かれています。

スクリプトを作る立場からしたら、「午前0時」の区切り+出生地域の「時差」方式がスッキリしていいかなと思ったんですが、実際に鑑定するときは、当日と翌日の二種類の命式を作ってみて比較した方がいいように感じました。

それにこれは日付に限らずですが、十二支の切り替わりの時間、例えば23時頃の生まれは亥の刻の可能性、1時頃の生まれは丑の刻の可能性も考慮に入れた方がいいように思います。

23時生まれの日柱と時柱(四の三)

以前、ある高齢者サークルの、ホームページや出欠のシステムを管理していて、そこの会長さんを算命学で鑑定したことがあります。

その方はビールで有名な中国の青島生まれ。鑑定した際、四柱推命だったら時柱はどうするんだろうと思いました。

私の住んでいる所は福岡の田舎なのに、家の近くに、外国の労働者の方の寮があります。

当然都心ともなれば、外国の労働者の方はもちろん、観光客の方もたくさんいらっしゃいます。

今後、日本人は減って行き、外国の方は増えて行く。外国の方を占うことも増えてくるでしょう。

そのとき、「午前0時」の区切り+出生地域の「時差」方式だと、世界中の地域の時差表を用意しなければなりません。

それはちょっと現実的には厳しいかな、と思います。

23時生まれの日柱と時柱(四の二)

私は四柱推命の参考書を何冊か持っていますが、格局などの基本を抑えつつ、独自の解釈がとても参考になるので、以下の四冊を利用させていただくことが多いです。

平木場泰義著「四柱推命学の知識」(神宮館)
歌丸光四郎著「決定版 四柱推命の秘密」(こう書房)
御堂龍児著「四柱推命大鑑」(国書刊行会)
波木星龍著「四柱推命の謎と真実」(八幡書房)

波木氏は、一日の区切りを24時=午前0時にする方式について、次のように述べられています。

「この点に関しては、近代になって「子の刻」を二分して、天文学的な区切りである「午前0時」の前を当日、後を翌日とし、干支を別々に用いている流派(門派)もあります。(中略)さらに天文学的区切りに従うのであれば、出生地域の「時差」も修正し、天文学的なズレの範囲「均時差」も考慮しなければなりません。」

そして、ご自身が採用されている方式を、次のように述べられています。

「私自身は一律”午後十一時以降”は「翌日扱い」とし、実占上では命式を作成してしまうケースが多くなっています。」

御堂氏は、まさにこの「午前0時」の区切り+出生地域の「時差」を採用されていますし、歌丸氏は、波木氏と同じ”午後十一時以降”は「翌日扱い」を採用されています。

平木場氏は、巻末に”午後十一時以降”は「翌日扱い」の表を載せていらっしゃるのですが、「筆者の場合は鑑定経験上よく当たるほうをとり、一日の分岐点は、子の刻(午後十一時〜午前一時)間の零時を分岐点としています。」と述べられています。

そして、出生地域の「時差」表は見当たらないので、出生地域の「時差」は考慮されていないのだと思います。

つまり、私が持っている四冊の参考書では、歌丸氏と波木氏、御堂氏、平木場氏の三種類の方式があるということですね。